隠れ家の机の傷だらけの木肌に押し当てられた「時の王冠」は、脈打っていた。その律動はあまりにも規則正しく、あまりにも意図的で、生きるための心臓というより、時を刻むことを覚えてしまった心臓のようだった。エララは解読した断片を目の前に広げる。黄ばんだ羊皮紙の束には神聖文字がびっしりと走り、ろうそくの光を受けて、まるで文字そのものが揺れ動くかのように見えた。指先が震える。老化は加速していた——自分の手を見れば分かる。こぶしの関節の周りに新しい皺が刻まれ、皮膚は薄くなり、動かすたびに古い羊皮紙みたいにくしゃりと鳴いた。三日。彼女は三日を差し出して、十年分の借り物の時間を得たのだ。
隠れ家には湿った石と、さらに古い秘密の匂いが満ちていた。倉庫街の地下、忘れ去られた地下室——北の坑道を抜けて逃走したあと、カシアンが彼女を引きずり込んだ場所だ。闇のどこかで水が滴り落ち、ひとしずくごとに、もう無駄にできない秒を数えている。地下深く、こんなところに風など届くはずがないのに、隙間風にあおられて一本のろうそくが弱々しく揺らいでいた。
彼女は最初の断片を手に取った。神聖文字が表面を生き物のようにうねり、神々の言葉が、乾いた皮に染み込んだインクへと落とし込まれている。言葉は解釈を拒んだ——暗号化されている、というのとも違う。凡人の理解をはね返すように組み立てられているのだ。彼女は何年もかけて、線のあいだを読む術を学んできた。神々が白日のもとに隠した形を見抜くために。
*「ヴァルドリスの昇天、御名第三。冬の転じ目の祝宴に、玉座へ近づく。大祭司長の手により、王冠はその額に置かれた。そして玉座は彼を受け入れた。」*
エララは眉をひそめ、別の断片へ手を伸ばした。こちらはさらに古く、縁は彼女の指に触れただけで崩れそうだった。
*「暁の淑女は権勢の座に座した。その輝きは広間を満たした。そして玉座は彼女を受け入れた。」*
同じ句が繰り返される。六つの断片のあちこちに、何世紀にもわたって。神は違う。司る領域も違う。だが結びだけが同じだ。
*「そして玉座は彼らを受け入れた。」*
彼女は粗い木の腰掛けに深くもたれ、背骨が背後の冷たい石壁に当たった。「時の王冠」は相変わらず脈打ち続け、忍耐強く、待っている。彼女は「受け入れた」とは、受容の意味だと思っていた。受け容れられ、歓迎され、神々の権能へ抱き入れられるのだと。
だが——日付が。
エララは断片を新しく並べ替えた。アーカイブの最奥で身につけた、時間の署名を読み取る術に従い、年代の痕跡で仕分けていく。御名第三のヴァルドリスが玉座に近づいたのは「紅の月」の年。暁の淑女はそれより三百年前。囁きの主は、さらに七百年前だ。
彼らの誰ひとりとして、統べてはいない。
断片の中から、治世の記録、布告、神としての裁きの記述を探した。何もない。神々は玉座へ近づき、「受け入れられ」、そして——沈黙。以後の言及が一切ない。歴史もない。神座から成された奇跡について、信徒が語り残した報告もない。
地下室の湿り気とは無関係の冷たさが、背骨を這い上がった。
「日付が合わない……」石にぶつかって声が割れた。「昇天したのに、治世の記録がない。あれから先の記録が、何ひとつ。」
ろうそくの炎がちらついた。影が紙片の上を跳ね回り、ほんの一瞬、墨がうごめいたように見えた。神の文字が、紙面から逃げ出そうとしているかのように。
エララは別の紙片をつかんだ。年老いた指が、壊れもののように繊細な素材をうまく扱えずにもたつく。これは違う。昇天の記録ではない。
警告だった。
古めかしい筆跡で書かれ、文字は窮屈で必死に詰め込まれている。まるで、書き手に残された時間が尽きかけていたかのように。
*王座は椅子ではない。口だ。力を授けはしない。それを有する者をむさぼり食う。神々は制御できると信じた。だが誤りだった。これを記す我らはすでに死んでいる。ただ、まだ息が止まっていないだけだ。これを読むなら走れ。座へ近づくな。誰にも座らせるな。飢えは忍耐強い。飢えは永遠だ。王座は己を差し出すすべてを受け入れ、決して満たされない。*
エララの手が震えた。紙片が指の間からすべり落ち、枯れかけの葉のようにふわりと机へ舞い降りる。文字が滲んだ――涙ではない、と彼女は気づいた。王冠から漏れ出す時間の歪みが、視界をにじませていたのだ。
遺物は、いまや先ほどより速く脈打っていた。彼女の発見に興奮しているかのように。
キャシアンのことが頭に浮かぶ。あの野心。王座を主張すれば、神々が見捨てた世界を癒やせるのだという、まっすぐな信仰。運命について、血統の権利について、神なる祖先に負っている義務について語るときの口ぶり。
彼は、両腕を広げて口へ歩み寄っている。
「去ったんじゃない……」声が絞れたように出た。ほとんど囁きにもならない。「連れていかれたのよ。残らずみんな。王座は神性を授けたんじゃない――それを餌にしたの。」
紙片は、墓場の骨のように彼女の前へ散らばっていた。いまなら見える。何世紀も前に誰かが葬り去ろうとした筋道が。大いなる沈黙は、単なる不在ではなかった。
それは、消化だった。
王座は、幾千年ものあいだに、ゆっくりと、機械じかけのように、神々の一団をまるごと食い尽くした。近づいた神はひと柱ずつ、食事になった。そして継承戦争――遺物を奪い合い、血統の権利を争い、空いた座に腰を下ろす機会を求めて争う主張者たち――彼らは王冠をめぐって競う後継者ではない。
饗宴に備えて用意される、料理の順番だった。
時の王冠が、さらに強く脈打った。ろうそくの火がぐらつき、消えた。
闇が地下室を呑み込んだ。
エララは動かなかった。息が短く鋭い音になって漏れる。古い墨の匂いと、それ以上に古い死の匂いで空気が濃い。水滴はなおも落ち続け、その一滴一滴が、名づけようのない何かへのカウントダウンのように聞こえた。
年老いた手が机の縁をつかむ。闇の中で指の関節が白く浮いた。
そのとき、反響が来た。
はじまりは囁きだった。自分の声に似ているのに、幾重にも重なり、引き伸ばされ、まだ生きていない年月を通して語られたような声。彼女の脇で空気がきらめき、形が結ばれていく。半透明で、ちらつく。自分自身の幽かな像――だが、もっと老いている。ずっと、ずっと老いている。皮膚は骨に貼りついた羊皮紙のようで、骨は不自然な角度で突き出し、目は空洞で、その飢えがエララの胃をひっくり返した。
反響は、震える手で時の王冠へ伸ばした。
「あいつに奪わせるな」声は自分自身と重なり合い、幾つもの未来が唱和する合唱になっていた。「誰にも奪わせるな。玉座は飢えだ。玉座は、いつだって飢えだ」
エララは後ずさった。腰掛けていた丸椅子が石に擦れて、甲高い音を立てる。反響がちらつき、彼女は見えはするがはっきりとは輪郭を結べない玉座の前に立っていた。目が痛むほどの光を放つ何かへ手を伸ばしている。反響の口が、声なき絶叫に開かれ、それから――
消えた。
ろうそくは再び灯った。炎は、最初から消えてなどいなかったかのように、揺らぎもせず安定している。
エララは冷たい床に座り込み、背を壁に預けた。欠片が落ち葉のように周囲へ散らばっている。心臓が肋骨を叩きつけるように脈打った。あの反響は時間の滲み出し――彼女がすでに借りてしまっているかもしれない未来の一瞥であり、正しい選択をすれば存在しないかもしれない「自分」からの警告だった。
あるいは、間違った選択をすれば。
エララは両の掌で目を押さえた。薄いシャツ越しに、ざらついた石が背中を擦り、今この瞬間へと彼女を繋ぎとめる。王冠の脈動はゆるやかになっていた。満ち足りたように――見せたかったものを見せ終えた、とでもいうように。
望んでもいない記憶が浮かび上がった。母の手。確かで温かく、幼いエララの指を導き、古い文面の上をなぞらせる手。ろうそくの明かりに沈むアーカイヴの奥、羊皮紙と埃と、幾世紀も守られてきた知の匂い。母の声は柔らかいのに、揺るがなかった。
「玉座より長く残るのは、真実だけよ、ちいさな子。心が砕けても、守りなさい」
七歳のエララは、立ち入り制限区画の床にあぐらをかき、まだ読めない文書に囲まれていた。母は上級のアーカイヴ係で、歴史を守るということは醜い部分も守ることだと――力ある者たちが埋めたがる真実を残すことだと――理解している数少ないひとりだった。
「どうして悪いことまで残すの?」幼いエララは尋ねた。「戦争とか疫病とか、自分の民を殺した王さまとか?」
母は、悲しげで、すべてを知っているような微笑みを浮かべた。「誰かが覚えていなきゃいけないからよ。忘れたい人たちってたいてい、もう一度それをやるつもりの人たちだから」
その記憶は、薄いのに温かな毛布みたいにエララへ降りてきた。彼女がアーカイヴ係になったのは、真実を守るためだ。権力に奉仕するためではない。都合のいい嘘にこね上げるためでもない。
母が教えたとおり、真実はどんな代償にも値した。
けれど、この真実は? この真実はカシアンを壊してしまう。彼の目的も、アイデンティティも、戦う理由も、粉々にする。彼は自分が玉座を手に入れるために生まれたのだという信念を中心に、存在のすべてを築いてきた。血の権利には責務が伴うのだと信じ、世界に必要とされる神になれるのだと信じて。
そして今、エララは知ってしまった。玉座を手にすることは、玉座に喰われることだと。
上の坑道で足音が反響した。重い。意図的だ。近づいてくる。
エララは震える手で欠片を集め、積み上げて山にした。頭の中が疾走する。隠すこともできる。燃やすこともできる。王冠の秘密を解き明かしたことなどなかったふりをすることもできる。カシアンを、あの運命へと進ませるのだ――彼を待つ口の存在を知らぬままに。
あるいは、彼に話すこともできる。彼が信じてきたすべてが嘘だったのだと。彼の祖先は王座を捨てたのではない――王座に喰われたのだと。何年も犠牲にして追い求めてきたその探求は、永遠の飢えに新しい肉を届けるための、ただの給餌装置にすぎなかったのだと。
足音がさらに大きくなる。今や声も聞こえた。石にくぐもってはいるが、聞き間違えようのない声だ。カシアンの抑えた調子。The Allyの、より速く、より温かな応答。偵察から戻り、追跡の進路の報せを携えてきたのだ。
エララは欠片を最後にもう一度見つめた。真実は手の中で重くのしかかり、羊皮紙というものが本来持ちうるはずの重さを超えていた。母の声が記憶の底で反響する。――*真実だけが、王座より長く生き残る。*
だが、それはカシアンより長く生き残らねばならないのか。
地下室の扉が、きしみを上げて開いた。光が階段を流れ落ち、闇を切り裂く。エララは目をかばい、欠片を胸に抱きしめた。老いた顔は仮面のようで――それを保てるのか、自分でも確信がなかった。
「エララ。」カシアンの声は、懸念で張りつめていた。「動く必要がある。追跡が北へ移った。猶予はあるが、長くはもたない。」
彼女は顔を上げた。扉口に立つ彼は逆光で影絵になり、手にした松明の火が強い面差しをいっそう際立たせている。疲れている。だが決意している。それどころか、希望すら宿していた――勝ち取る価値のある何かのために戦っていると信じる男の希望が。
自分が喰われるために戦っているなど、彼は知らない。
「欠片は」エララは言った。感じているよりも声は落ち着いていた。「翻訳を終えたわ。」
カシアンが階段を下りてくる。石に当たる靴音が鳴り響く。続いてThe Allyが降り、松明の光に青白い顔をさらしながら、あらゆる角から襲撃が来るとでもいうように影へ視線を走らせた。二人は最下段に達し、カシアンは机へ歩み寄る。視線が散らばった羊皮紙の束に落ちた。
「何がわかった?」
彼が欠片に手を伸ばす。
エララは、それを引いた。
小さな、反射的な動きだった。だが、それが彼をぴたりと止めた。彼の手は二人の間の空中で止まり、表情の何かが揺らぐ――一瞬の困惑、それから疑念、そして以前にも見たことのある用心深さ。まだ彼女を信用していなかった、初期の日々のそれだ。
「エララ。」彼の声が低くなる。「王冠はおまえに何を見せた?」
二人の間で〈時刻の王冠〉が脈打った。忍耐強く、飢え、玉座へ誰かが餌を与えるまでの瞬間を数えている。エララは肋骨の内側に真実の重みが押しつけられるのを感じた。解き放てと迫ってくる。今この場で彼の探求を終わらせられる。言葉で彼の目的を粉々にできる。
あるいは、彼が王冠を手に入れるのだと信じたまま、口の中へ歩いていくのを許すこともできる。
松明の光が揺れる。水滴が落ちる。王冠が脈打つ。
そしてエララは、選んだ。
「記録には欠落があるの。」彼女は平坦に、抑えた声で言った。「欠片は不完全よ。誰かが史録の一部を取り除いた――何世紀分もの記録が、消えている。失われた部分を復元するには、もっと時間が必要だわ。」
その嘘は、舌の上で灰の味がした。
キャシアンは彼女の顔を見つめ、隠しきれない何かを探した。背後でThe Allyが身じろぎし、腰のベルトに差したナイフに手を置いたまま、地下室の影をなおも見回している。
「追っ手は、時間なんてくれない」キャシアンはゆっくり言った。「今夜動くか、二度と動けないかだ。」
「なら、動くわ。」エララは欠片を革のサッチェルにまとめ、きっちりと収めた。動きは正確で、表情は無色のまま。「道中で分析を続ける。他にも書庫があるかもしれないし、欠けた部分を埋められる別の資料も見つかるかもしれない。」
彼女は彼を見なかった。見られなかった。目が合えば、そこにある信頼が見えてしまう――自分が味方であり、彼のアーキビストであり、この探索の相棒だと信じている眼差しが。王座という、彼を食い尽くそうとするもののためにすべてを賭けた男が見えてしまう。そして彼を救うのか、それとも彼自身に破滅を選ばせるのか、決めねばならなくなる。
真実だけが、王座よりも長く残る。だが、ときに真実は待てる。ときに嘘だけが、身を寄せられる唯一の避難所になる。
キャシアンが手を伸ばし、彼女の肩に触れた。やさしいが、揺るがない握りだった。
「エララ。俺を見てくれ。」
彼女は無理やり、視線を上げて彼の目を見た。
「Crownが見せたものが何であれ」彼は声を低く落とした。「あの欠片の中で、お前がどんな真実を見つけたとしても――俺たちは一緒に向き合う。そう約束した。誓った。お前ひとりに背負わせない。」
誓い。彼の大義に加わったとき、初めて時間を借りて彼の命を救い、彼の運命に自分を結びつけたときに口にした言葉。
*王座が手に入るか、探索が終わるまで、共に。*
彼が王座を得るのを助けると誓った。だが、それが彼を殺すと告げるとまでは誓っていない。
「一緒に。」彼女は繰り返した。口の中で、その言葉が空洞に響いた。
The Allyが喉を鳴らした。「行かなきゃ。今。北の通路は通れるけど、ずっとはもたない。」
キャシアンはエララの肩から手を離した。彼はテーブルからCrown of Hoursを取り上げ、触れた途端にその脈動が速まるのを感じながら、腰のベルトに付けた詰め物入りのケースへしまい込んだ。遺物は彼の体格に比べると小さく、無害に見えた――借りた時間の光でたまたま輝く、暗い金属の簡素な輪にすぎないように。
エララは思った。王座も同じくらい無垢に見えるのだろうか。美しい広間の、美しい椅子。誰かが座り、休み、自分自身を差し出すのを待っている。
彼女は欠片の入ったサッチェルを肩に掛け、キャシアンの後を追って階段を上った。The Allyが最後尾につき、ナイフを抜いたまま、影に潜む脅威を探す目を止めない。
彼らが出たのは狭い路地だった。頭上の夜空は雲が厚く垂れこめ、星を覆い隠している。空気は雨と腐臭を含み、都市の暗部が四方から押し迫ってきた。遠くどこかで、鐘が真夜中を告げて鳴った。
キャシアンは足早に進み、ブーツが石畳を意志のままに打った。The Allyは歩調を合わせ、軽い足取りはほとんど音を立てない。エララは続き、老いた脚が一歩ごとに痛み、借りた年月の重みが肩にのしかかった。
彼女は彼に嘘をついた。
真実は彼女の腰に当てたサッチェルの中に収まっていた。羊皮紙の断片――それは、消費と飢餓の物語であり、振るおうとした力そのものに神々が喰われたという記録だった。彼女は、彼の探索を終わらせ、命を救い、目的を打ち砕きうる知識を携えていた。
それでも彼女は、それを隠し通すことを選んだ。
地区の外れに差しかかったところで雨が降り出した。大粒のしずくが石畳に叩きつけられ、世界を灰色に塗りつぶしていく。キャシアンは外套をいっそうきつく引き寄せ、前へ進んだ。The Allyは屋根の上を走る視線で弓兵を探る。エララは二人のあいだを歩いた。守られ、導かれ、慈しまれながら。
秘めたことの重みが、一歩ごとに増していった。
鐘の音が鳴り終わるころ、彼らは北門に着いた。衛兵は交代し、街の律動は何事もなかったかのように続いている。まるで世界が啓示の縁に乗ってなどいないかのように。まるでひとりの男が、丸ごと呑み込む口へ向かって歩いているなどありえないかのように。
門のところでキャシアンが立ち止まり、振り返って彼女の様子を確かめた。目にはやわらかな気づかいが宿っている。
「大丈夫か? 遅れてないか?」
エララはうなずいた。嘘はもう容易になりつつあった。真実の上に第二の皮膚が張りついていく。 「平気よ。断片は、もっと安全な場所を見つけて詳しく調べるまで、ちゃんと保つわ」
彼は微笑んだ。彼女が最初に彼を信じたくなった、あの飾り気のない表情で。 「答えを見つけよう、エララ。王冠が何を隠していようと、神々が何を残していようと――暴いてみせる。いっしょに」
いっしょに。その言葉は門をくぐり、城壁の外の雨に濡れた闇へ入っても、彼女にまとわりついた。頭蓋の内で反響し、口にできない真実、分け合えない秘密、すでに選んでしまい取り消せない決断にぶつかって跳ね返る。
*玉座は飢えだ。玉座はいつだって飢えだ。*
そして彼女は、守ると誓った男を、その口へまっすぐ導いていた。
北へ延びる道が彼らの前に広がっていた。丘陵を縫い、それがやがて山へ変わっていく先へ――無限の忍耐で次の食事を待つ玉座へ。エララはキャシアンの傍らを歩き、老いた脚は疼き、借り物の時間は未来へ圧をかけ、秘密は胸の中で石のように重かった。
背後で、街の鐘が最後にもう一度鳴った。
前方で、何かが蠢いた――何世紀も待っていた何か。生きるのではなく瞬間を数えることを学んだ何か。飢えることを一度もやめなかった何か。
時の王冠がキャシアンの腰帯のところで脈打ち、門の外の闇の中で、エララは動きを捉えた。ひとつの人影。林の縁に身じろぎもせず立ち、彼らが通り過ぎるのを見ている。
それは首を回し、彼女のほうを向いた。
自分自身の顔が見返してきた――さらに年老い、削げ落ち、地下室で見たあの恐ろしい飢えを宿したまばゆい目。残響はゆっくりと片手を上げて振り、その口は雨と鐘の音の向こうで、彼女には聞こえない言葉をかたちづくった。
それから、笑った。
そして消えた。
エララの心臓が強張った。彼女はキャシアンの腕をつかみ、指が袖へ食い込む。
「どうした?」彼は振り向き、手を剣へ伸ばした。「何を見た?」
エララは、何もない林縁を見つめた。いまそこにあるのは影と雨、そして北へ延びる長い街道だけだった。
「……何も」自分の声がそう言うのが聞こえた。「暗がりが、目をくらませただけ」
だが、残響は彼女の顔をしていた。彼女を知っていた。待っていたのだ。
*王座は、いつだって飢えている。*
そしてそれは、もう彼女の名を知っていた。
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第11章:受け入れ - 時を借りた少女
隠れ家の机の傷だらけの木肌に押し当てられた「時の王冠」は、脈打っていた。その律動はあまりにも規則正しく、あまりにも意図的で、生きるための心臓というより、時を刻むことを覚えてしまった心臓のようだった。エララは解読した断片を目の前に広げる。黄ばんだ羊皮紙の束には神聖文字がびっしりと走り、ろうそくの光を受けて、まるで文字そのものが揺れ動くかのように見えた。指先が震える。老化は加速していた——自分の手を見れば分かる。こぶしの関節の周りに新しい皺が刻まれ、皮膚は薄くなり、動かすたびに古い羊皮紙みたいにくしゃりと鳴いた。三日。彼女は三日を差し出して、十年分の借り物の時間を得たのだ。
隠れ家には湿った石と、さらに古い秘密の匂いが満ちていた。倉庫街の地下、忘れ去られた地下室——北の坑道を抜けて逃走したあと、カシアンが彼女を引きずり込んだ場所だ。闇のどこかで水が滴り落ち、ひとしずくごとに、もう無駄にできない秒を数えている。地下深く、こんなところに風など届くはずがないのに、隙間風にあおられて一本のろうそくが弱々しく揺らいでいた。
彼女は最初の断片を手に取った。神聖文字が表面を生き物のようにうねり、神々の言葉が、乾いた皮に染み込んだインクへと落とし込まれている。言葉は解釈を拒んだ——暗号化されている、というのとも違う。凡人の理解をはね返すように組み立てられているのだ。彼女は何年もかけて、線のあいだを読む術を学んできた。神々が白日のもとに隠した形を見抜くために。
*「ヴァルドリスの昇天、御名第三。冬の転じ目の祝宴に、玉座へ近づく。大祭司長の手により、王冠はその額に置かれた。そして玉座は彼を受け入れた。」*
エララは眉をひそめ、別の断片へ手を伸ばした。こちらはさらに古く、縁は彼女の指に触れただけで崩れそうだった。
*「暁の淑女は権勢の座に座した。その輝きは広間を満たした。そして玉座は彼女を受け入れた。」*
同じ句が繰り返される。六つの断片のあちこちに、何世紀にもわたって。神は違う。司る領域も違う。だが結びだけが同じだ。
*「そして玉座は彼らを受け入れた。」*
彼女は粗い木の腰掛けに深くもたれ、背骨が背後の冷たい石壁に当たった。「時の王冠」は相変わらず脈打ち続け、忍耐強く、待っている。彼女は「受け入れた」とは、受容の意味だと思っていた。受け容れられ、歓迎され、神々の権能へ抱き入れられるのだと。
だが——日付が。
エララは断片を新しく並べ替えた。アーカイブの最奥で身につけた、時間の署名を読み取る術に従い、年代の痕跡で仕分けていく。御名第三のヴァルドリスが玉座に近づいたのは「紅の月」の年。暁の淑女はそれより三百年前。囁きの主は、さらに七百年前だ。
彼らの誰ひとりとして、統べてはいない。
断片の中から、治世の記録、布告、神としての裁きの記述を探した。何もない。神々は玉座へ近づき、「受け入れられ」、そして——沈黙。以後の言及が一切ない。歴史もない。神座から成された奇跡について、信徒が語り残した報告もない。
地下室の湿り気とは無関係の冷たさが、背骨を這い上がった。
「日付が合わない……」石にぶつかって声が割れた。「昇天したのに、治世の記録がない。あれから先の記録が、何ひとつ。」
ろうそくの炎がちらついた。影が紙片の上を跳ね回り、ほんの一瞬、墨がうごめいたように見えた。神の文字が、紙面から逃げ出そうとしているかのように。
エララは別の紙片をつかんだ。年老いた指が、壊れもののように繊細な素材をうまく扱えずにもたつく。これは違う。昇天の記録ではない。
警告だった。
古めかしい筆跡で書かれ、文字は窮屈で必死に詰め込まれている。まるで、書き手に残された時間が尽きかけていたかのように。
*王座は椅子ではない。口だ。力を授けはしない。それを有する者をむさぼり食う。神々は制御できると信じた。だが誤りだった。これを記す我らはすでに死んでいる。ただ、まだ息が止まっていないだけだ。これを読むなら走れ。座へ近づくな。誰にも座らせるな。飢えは忍耐強い。飢えは永遠だ。王座は己を差し出すすべてを受け入れ、決して満たされない。*
エララの手が震えた。紙片が指の間からすべり落ち、枯れかけの葉のようにふわりと机へ舞い降りる。文字が滲んだ――涙ではない、と彼女は気づいた。王冠から漏れ出す時間の歪みが、視界をにじませていたのだ。
遺物は、いまや先ほどより速く脈打っていた。彼女の発見に興奮しているかのように。
キャシアンのことが頭に浮かぶ。あの野心。王座を主張すれば、神々が見捨てた世界を癒やせるのだという、まっすぐな信仰。運命について、血統の権利について、神なる祖先に負ってい...